
新型インフルエンザが猛威をふるうことが危惧されている。そのため、インフルエンザウイルスと花粉のダブルパンチを恐れ、マスクが手放せないという御仁も多いだろう。事実、通勤時やオフィスでのマスク率も異様に高く、春近しのこの季節になっても、完全武装から逃れられないという声がよく聞こえる。
そんな折、吉報となる技術が開発された。強い感染力をもつ新型インフルエンザへと変異する恐れのある鳥インフルエンザウイルスを検出する検査キットの誕生だ。開発したのは、医療機器メーカーのシスメックスと大阪府立公衆衛生研究所。
シスメックスは、血液や尿、細胞などの臨床検査試薬や分析機器を製造し、医療機関に提供する事業が中心。あのアテネ五輪・女子マラソン金メダリストの野口みずき選手の所属先としても知られている。
この検査技術が生み出されたきっかけは、鳥インフルエンザウイルスとヒトインフルエンザウイルスの内部のたんぱく質の構造に、わずかながら違いがあることを発見したことだった。これが良い目印となり、鳥インフルエンザウイルスのみを簡易・迅速に検出する技術が実現したという。従来なら特殊な分析技術が必要とされ、半日~1日程度の測定時間がかかっていたものが、わずか約10分と大幅に短縮されて、簡便性は大いに向上した。
鳥インフルエンザは、ヒトに感染した場合、重篤化した例が報告されており、特に「H5亜型」というタイプは、新型インフルエンザウイルスに変異する可能性が高いとされている。検査キットは、「H5亜型」のみならず、その可能性をはらむという「H7亜型」「H9亜型」などのタイプも検出できる。
現在、研究機関などを対象にした限定販売に向けて準備をしており、その後は臨床用の製品化を進める。このキットにより、簡単にウイルスが検出できるようになれば、感染者の早期発見につながり、大流行を未然に防げる可能性も広がる。
花粉症をはじめ、ノロウイルスやO-157の広がりなど、日本人の免疫力低下が懸念されて久しいが、この検査キットの有用性が認められれば、少なくとも新型インフルエンザの脅威は大きく軽減されるはずだ。(田島 薫)
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