2009/04/13 季節を選ばない新型インフルエンザ|感染症予防と衛生材料の専門店「パンフル」パンフルで検索

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2009/04/13 季節を選ばない新型インフルエンザ

 「暖かくなって、新型インフルエンザはもう心配ない?」と、よく聞かれる。
通常のインフルエンザの流行が暖かくなると収束するからだろう。
でも、これが誤解であることは、過去の新型インフルエンザの記録が雄弁に物語る。

 世界で4000万人、国内で約40万人が犠牲になった「スペイン風邪」の国内流行は、1918年8月下旬に始まった。  
世界で200万人以上が死亡した「アジア風邪」は、1957年の5月から7月にかけて第一波が列島を直撃。
「香港風邪」の集団感染は1968年10月から広がった。  
アジア風邪、香港風邪の流行当時の新聞には、「厚生省で職員1割発病」「犯罪捜査や公判などに支障」「ワクチンが間に合わない」などの見出しが踊り、当惑ぶりが伝わってくる。

 暖かくなるとインフルエンザの流行が収束するのは、ウイルスが嫌う多湿になることに加え、閉じた空間で、くしゃみ、せきから飛散し、長時間漂う浮遊粒子を吸い込む「空気感染」の機会が減るからだ。  
新型インフルエンザが時を選ばないのは、人類が免疫を持っていないことが大きな要因だろう。  
しかし、日本公衆衛生協会が70年に、アジア風邪の記録をまとめた「アジアかぜ流行史」を読むと流行拡大の人的な要因も見えてくる。  
ある地域の自衛隊員の間で大流行し、発病率は50%を越えた。
同じ地域の保健所職員の発病率の2・5倍だったという。
集団生活で、対人接触が濃厚な自衛隊員の職場環境が流行を促進させたと考えられている。  
流行第1波の6月下旬、都内の看護学院の学生らが北海道旅行に向かった。旅の途中、患者もでたが、最後は釧路から客船で東京に帰還した。4日間、同じ部屋での雑魚寝で、一気に25人がアジア風邪に倒れた。  
空気感染の端的な例であり、流行史は、「密室の殺人ならぬ密室の大流行」と記す。
冷暖房完備の密室が多い現代、流行を最小限に抑える対策を考える上で、参考になる事例だろう。

 政府は、都道府県で1人でも患者が確認された場合に学校を閉鎖するという方針を打ち出した。
アジア風邪でも、学校での流行は、一般社会より先を走った。感染の増幅装置となる学校の閉鎖は、妥当な対策であろう。問題はその先、自宅待機させる子どもをどうするか、先生をどう活用するかの議論がないことである。その点、米国は、地区ごとに住民が話し合い、少人数教育、遠隔教育などを行うことを決めている。国家の危機管理の覚悟の違いが見える。  

国内の対策を見て、気になるのは、大流行前ワクチンやインフルエンザ治療薬備蓄に過度に期待を持たせている点だ。
現代科学の粋を集めた対策であるが、効果は不明であり、それだけに頼るのは危険。
今、大事なのは、歴史に学び、個人や社会ができることを考えさせる情報提供だろう。  

感染症防止の基本であるマスク装着、うがい、手洗いの励行は、スペイン風邪を契機に国民に広がった「文化」とされる。
効果は限定的とされるが、香港で新型肺炎(SARS)が流行したときに、マスクの装着で季節性インフルエンザ、マイコプラズマなどの発病率が激減したという。
不必要な外出を避ける、症状がでたら自宅療養することを社会に浸透させる。
感染しない、と同時に、感染源にならないためにできることをやる。  

新型インフルエンザ対策が、新たな文化を生み出す機会になるかもしれない。

読売新聞




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