
滋賀県内の障害者福祉施設が新型インフルエンザの感染防止に頭を悩ませている。利用者の家庭事情から、閉所が難しいためだ。患者を受け入れなければならない状況も想定されるが、事業者からは「受け入れない方がいいのか、利用者の日常生活を守る方がいいのか判断が難しい。セーフティーネットを考えることが必要では」との声が聞かれる。
■受け入れか閉所か...板ばさみ
障害者支援施設「ステップ広場ガル」(大津市)で11月中旬、ショートステイの利用者が発熱した。家族に新型インフルエンザの患者がいたため、同施設は6日間閉所した。
高齢などを理由に家族が世話できない利用者については利用を継続したが、福井聡事業所長(55)は「同じ施設を利用する長期入所者に感染する心配がある。職員へ広まると手が足りなくなる恐れもある」と懸念する。
県障害者自立支援課によると、5月の新型インフルエンザ発生を受けて県が休業要請を出した際、対象の6市95施設のうち、家庭の事情から3施設が従来通り、23施設が一部の利用者を受け入れたという。施設や利用者の事情が異なるため現在、県などは閉所の基準を設けておらず、各施設に判断を委ねている。
■「家庭事情で介護できず」でも「職員に拡大、不安」
11月に3日間閉所した障害福祉サービス事業所「ぽかぽか」(同市)では、仕事を理由に子どもを迎えに来てほしいと頼む親もいたという。片岡学所長(48)は「家族の苦労を考えるとなるべく閉めない方がいいが、病気はどうなるか分からないので」と判断の難しさをにじませる。
利用者に加え、家族も感染して自宅での世話が困難になった場合などの対策は定まっておらず、施設側にとってさらに難しい判断を迫られることになる。
おおつ福祉会のリスクマネジメント担当、粟田士郎さん(45)は「施設内での隔離は難しく、病院では介護面が追いつかない。職員が各家庭に赴くしかない」としながらも、「在宅ケアをすると職員が足りなくなる。隔離して世話できる最後の駆け込み場所を確保するのが一番だが、今はそういった施設がない」と困惑している。
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