
宮崎県の口蹄疫(こうていえき)問題で、発生農家の半径10キロ圏内の家畜へのワクチン接種は2日目の23日、牛に対しても接種が始まった。一方、感染を拡大させるとして憂慮されているのが、感染牛・豚の処分の遅れだ。殺処分対象は22日現在で13万6265頭に上るが、埋却を含む最終防疫措置を終えたのは7万673頭と、5割強にとどまる。処理数の多さに加え、埋却用地も十分に確保できていないため、県は新たな埋却地として県立農業大学校(高鍋町)の敷地約100ヘクタールを提供することを決めた。
埋却は深さ数メートルの穴を掘り、石灰をまいて防水シートを敷き、その上に処分した家畜を重ねて土をかぶせる。家畜伝染病予防法は埋却地について「原則、発生地またはその付近」と定めるが、農家が自費で土地を購入しなければならなかったり、地下水が出て場所を選び直さねばならないケースも出ている。
宮崎市の会社員、松浦忍さん(42)の同県川南町の実家では牛15頭を飼育している。今月9日に感染疑いが確認された。しかし、掘った穴から水が出てしまい、23日現在埋却地は決まっていない。自費で別の土地を買い求めようとしたが見つからず、今は他の発生農家の土地を借りる交渉中という。「そうこうしているうちに24日にも新しい子牛が生まれそう。だが、その子牛も処分しなければならない」と嘆いた。
22日に始まったワクチン接種は、殺処分と埋却が追いつかない状況を緩和する措置だ。
感染した家畜は生きたままだとウイルスを出し続けるため、同法は、速やかな殺処分と焼却や埋却を義務付ける。特に豚の感染力は牛の数百倍とされ、JA宮崎中央会との意見交換の場で山田正彦副農相が「感染した豚1頭は半日で1万頭を感染させられる。一刻も早く埋却を」と発言する場面もあった。
感染が多発する川南町など県中央部は、畜産農家の密集地帯。数千頭単位で飼育している大規模農場での感染確認も、殺処分対象頭数の増加に拍車をかけることになった。
今回のワクチン接種対象頭数は約14万5000頭。接種は25日に終える予定だが、埋却を含めた最終防疫措置の終了時期はまったくめどが立たない状況だ。【石田宗久、小原擁】
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