
東京大の河岡義裕教授らと米バイオベンチャー企業などのチームは、インフルエンザの新たな治療物質を開発した。ウイルスのたんぱく質にくっつく「抗体」で、致死率の高い高病原性鳥インフルエンザと昨年流行した新型インフルエンザの両ウイルスで治療効果があることを動物実験で確認した。今後、ヒトの臨床試験を実施して実用化を目指す。
米ジョンズホプキンス大などとの共同研究で、米科学アカデミー紀要(電子版)に29日掲載される。
国際チームは、インフルエンザウイルスの表面にあるたんぱく質「M2」に着目。M2に結合する抗体を米バイオベンチャーのテラクローン・サイエンス社(ワシントン州)が合成した。
この抗体を高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)に感染したマウスに注射。何もしなければ2週間で大半が死んだが、抗体を注射したマウスは8割が生き延びた。豚から広がり昨年流行した新型インフルエンザウイルス(H1N1型)に感染したマウスは、何もしないとほとんどが1週間で死んだが、抗体を注射すると6割が2週間以上生き延びた。
インフルエンザの治療には体内でウイルスの増殖を抑える「タミフル」などの治療薬を使うが、効かなくなる「耐性」の問題がある。M2は、どのようなインフルエンザウイルスでも共通で変異しにくいので耐性が出にくいとみられ、新たな治療の選択肢として期待される。
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