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2010/07/08 「任意接種」疾患の症状、ワクチンの効果は?

 ワクチンで予防可能な疾患(VPD)だが、予防接種法で位置付けがなく「任意接種」となっている疾患について、臨床症状や患者数、ワクチンの導入によって期待される効果などをまとめた「ファクトシート」が、7月7日の厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会に提出された。それぞれの疾患のファクトシートの内容を整理した。

■ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(ヒブ)
 ヒブ感染症の臨床症状は、髄膜炎、菌血症、急性喉頭蓋炎、化膿性関節炎など。感染防御に不可欠とされるポリリボシルリビトールリン酸(PRP)に対する抗体価は年齢とともに上昇するため、ヒブ感染症は乳幼児が主体になる。日本で小児100例の血清中抗PRP抗体価を調べたところ、44例で感染防御に十分な抗体価が認められず、特に2歳未満の40例では6割に当たる24例で抗体価が低かったと報告されている。

 米国CDC(疾病予防管理センター)は、1990年代からのヒブワクチンの定期的な使用によって、5歳未満の子どものヒブ感染症は99%減少し、10万人に1人より少ない発生率になったと報告している。
 日本でヒブワクチンが導入されれば、患者治療費などの削減により、接種費用を考慮しても年間82億円の費用削減が期待されるとの推計がある。

■肺炎球菌
 肺炎球菌は、特に乳幼児では、血液中に侵入して菌血症を起こすことがある。菌血症から髄膜炎を来すと、発熱、頭痛、意識障害などの症状が見られる。また、髄膜炎が治癒した場合でも、難聴や四肢麻痺、てんかんなどの重度の後遺症が残ることがある。抗菌療法が発達した現代でも、肺炎球菌性髄膜炎の予後に改善は見られず、治癒88%、後遺症10%、死亡2%と報告されている。
 罹患率は、昨年は髄膜炎が5歳未満人口10万人当たり2.6人、髄膜炎以外の侵襲性感染症が同21.0人だった。

 米国では、小児用の7価コンジュゲートワクチンに含まれる血清型による5歳未満の侵襲性感染罹患率が、ワクチン導入前の人口10万人当たり年81.9人から、導入後には同0.4人にまで減少した。また、ワクチンを接種した小児だけでなく、接種していない成人の感染も減少する「集団免疫効果」があった。
 日本での7価コンジュゲートワクチンの接種率を100%、接種回数を4回とした場合、接種の総費用296億円に対し、削減される費用は中耳炎で610億円、髄膜炎で34億円、菌血症で29億円、肺炎で14億円の総額687億円との試算がある。また、米国と同様の集団免疫効果を期待した場合、肺炎による入院医療費の削減額は5年間で613億円と推計されている。

■ヒトパピローマウイルス
 ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染は、子宮頸がんや尖圭コンジローマなどの発症の原因になる。
 日本では、2008年に5709人が子宮がんで死亡したとされている。内訳は子宮頸がん2486人、子宮体がん1720人、どちらか不明ながん1503人。年齢別では、30歳代後半から死亡率が増加している。

 海外でHPVワクチンの接種が始まったのは06年。HPV感染から子宮頸がん発症まで10年以上の潜伏期間があるため、HPVワクチン導入が子宮頸がんの患者や死者の減少につながるかどうかはまだ分かっていない。

■ポリオ
 ポリオワクチンは、経口生ワクチン(OPV)と不活化ワクチン(IPV)が実用化されているが、日本では国産のIPVは承認されていない。OPVを使用していた諸外国では、ワクチン関連麻痺などのリスクを考慮して、IPVへの切り替えを進めている。
 08年の報告では、欧米を中心に30か国がIPVのみで、ベラルーシやポーランドなど9か国がIPVとOPVを併用して予防接種を行っている。

■百日ぜき
 百日ぜきは、主にワクチン接種前の乳児やワクチン未接種の小児が感染する。しかし、近年ではワクチンの効果が減退した青年・成人層の感染が新たな問題となっており、青年・成人の保菌者が乳幼児の感染源になると指摘されている。
 日本では現在、生後3か月からジフテリア・破傷風・百日ぜき三種混合ワクチンの接種を開始している。一方、米国では「大人から子ども」への感染防止を目的に、05年に青年・成人用三種混合ワクチンの使用を認可している。

医療CB




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