
帝京大病院でほとんどの抗菌剤が効かない多剤耐性アシネトバクター(MRAB)による院内感染が発生し、患者が死亡したことを受け、厚生労働省は7日、医療機関に対し、MRABの感染例を国に報告するよう義務づける方針を固めた。独協医科大病院で国内初の感染が確認された新型の多剤耐性菌については週内に感染実態を把握するための全国調査に乗り出す。
帝京大病院で46人の感染が確認されているMRABは、土の中などに生息するアシネトバクター菌が、複数の抗菌剤に対する耐性遺伝子を獲得したものだ。
2000年ごろから欧米で広がり始め、国内では一昨年から今年にかけ、帝京大病院以外にも福岡大病院など4医療機関で患者への感染が確認されており、国内に広がりつつある。
現在、感染症法に基づく耐性菌の国への報告義務はバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌など5種類に限られている。MRABは報告義務がないため感染の実態把握が難しかった。厚労省は感染症の専門家による部会を早期に開催し、報告を求める医療機関を検討するなど制度を見直す方針。
一方、独協医科大病院で確認された新型の多剤耐性菌については、今週中に自治体に対して通知を出し、全国調査に乗り出す方針。
新型の多剤耐性菌は抗菌剤を分解するNDM1という遺伝子を持ち、インドやパキスタンの医療機関から欧州に拡大した。
独協医科大病院で見つかった新型はNDM1を持つ大腸菌だったが、人の腸内にいる肺炎桿(かん)菌(きん)や病原性の強いサルモネラ菌などにうつることも懸念されている。
新型耐性菌の解析には高度な遺伝子検査が必要となるため、国立感染症研究所に各医療機関からの検体を集めて分析する見通し。
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