2010/10/01 多剤耐性菌の拡大防止、通常の感染対策徹底がカギ|感染症予防と衛生材料の専門店「パンフル」パンフルで検索

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2010/10/01 多剤耐性菌の拡大防止、通常の感染対策徹底がカギ

日本感染症学会理事の舘田一博氏(東邦大微生物・感染症学講座准教授)はキャリアブレインの取材に応じ、多剤耐性アシネトバクターなど多剤耐性菌の院内感染の拡大を防ぐには、院内環境のアルコール消毒や医療スタッフの手洗いの徹底など、通常の院内感染対策が重要だとの見解を示した。

さらに、病院内のサーベイランス(疫学調査)をしっかり行うべきだと強調。感染者数などを正確に把握することで、対策が取りやすくなるとの考えを示した。

一方で、これらを徹底しても、院内感染を「完全にシャットアウトすることは不可能」と指摘し、「重要なのは、院内感染が起きている可能性が明らかになった時に対策を取ること。何の対策も取らずにそのまま感染を広げてしまうことが一番よくない」と話した。

—アシネトバクターはどのような場所から検出されますか。
アシネトバクターは、環境中に広く存在している細菌です。多剤耐性を獲得しているものはそれほど多くありませんが、病院内で床や医療従事者の皮膚などから高い頻度で検出されるほか、家の中にも存在しています。

—病原性の高い細菌なのでしょうか。
病原性は非常に低く、感染しても健康な人であれば発症しない、いわゆる「日和見感染症」です。人工呼吸器を装着していたり、血管や尿道にカテーテルが挿入されていたり、免疫抑制剤を投与されていたりして、抵抗力が弱っている入院患者に感染症を引き起こします。

—院内感染はどの医療機関でも起きる可能性があるのですか。
多剤耐性アシネトバクターの院内感染は、診療所など小規模な医療機関でも起こり得ます。しかし、大学病院のように重症な患者を多く受け入れている大規模な医療機関の方が、危険性は高いと言えるでしょう。

—どのようにして多剤耐性を獲得するのですか。
抗菌薬に暴露した際に獲得することがほとんどです。何らかの感染症が強く疑われる患者に限って、適切な量を、適切な期間にだけ処方するなど、抗菌薬の使用に注意しなければいけません。必要のない抗菌薬を大量に使ったり、不十分な量を長期間だらだらと服用したりすると、多剤耐性が生じやすいので、避けるべきです。自分で勝手に判断して薬の量や回数を減らしたり、途中で服用をやめたりしないよう、患者に呼び掛ける必要があります。

—ヒト−ヒト感染はなぜ起こるのですか。
基本的には接触感染です。乾燥した環境でも長期間にわたって生存できるアシネトバクターは、人から人に非常に感染しやすい細菌です。菌が付着した手でどこかを触ると、その後も長く菌が残り、そこを触った別の誰かに感染します。

—院内感染対策で重要なことは何ですか。
特別なことはありません。床、ドアノブ、ベッド、カーテンなどの院内環境、医療スタッフの手や指、使用した医療器具などをアルコールでしっかり消毒することが重要です。これらは、病院内で多剤耐性アシネトバクターが分離されているかどうかにかかわらず、やらなければいけない当たり前のことですが、おろそかになれば院内感染の拡大を招くことになりかねません。

—そのほかに重要なことはありますか。
院内のサーベイランスをしっかりやることです。何人の患者から、どのような薬剤耐性菌が分離されているかを正確に把握していれば、対策が取りやすくなります。また、院内感染がゼロであることを証明できれば、その病院は院内感染対策をしっかりやっていることになります。
日本では、院内感染が不祥事のように扱われ、バッシングされるので、医療機関は院内感染を見つけると隠したがります。しかし、院内感染を早期に発見し、早めの対策が取れたのなら、それは公表して誇るべきことです。

—こうした対策を徹底すれば、院内感染を封じ込めることができるのでしょうか。
院内感染は、起きている可能性が常にあるものです。完全にシャットアウトすることは不可能です。
重要なのは、院内感染が起きている可能性が明らかになった時に、しっかり対策を取ることです。何の対策も取らずにそのまま感染を広げてしまうことが一番よくありません。多剤耐性アシネトバクターの検出が1例から2例になった時には、院内感染が起きている可能性が非常に高いので、対策を講じるべきでしょう。

(医療CB)




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