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医療&健康ナビ:肺炎球菌ワクチン 東日本大震災の影響で高齢者向けが品薄に。
◇重症化する菌、8割に効果
高齢者向けの肺炎球菌ワクチン(商品名・ニューモバックスNP)の品薄が続いている。09年の新型インフルエンザ流行を機に関心が高まったことに加え、東日本大震災の被災者に大量の需要が発生したことが要因とみられる。専門家は「肺炎球菌ワクチンは5年以上効果が持続する。今はうがい、手洗いなど通常の予防策を徹底してほしい」と冷静な対応を呼びかけている。
◇2月から供給増加
昨年12月末、新聞各紙に肺炎球菌ワクチンの品薄を知らせる告知が掲載された。発売元のMSD(東京都千代田区)は「震災による需要増を見込んで供給量を増やしたが、11月の出荷量が前年の4倍に急増するなど、使用量が倍増したため供給が追い付かなかった」と説明する。2月以降、順次供給体制が整う見通しという。
細菌やウイルスの感染などで起こる肺炎は、日本人の死亡原因の第4位。全死亡者数の95%を65歳以上が占める。細菌性肺炎の原因の約3割が肺炎球菌だ。
肺炎球菌自体は人の鼻の奥や気道に生息する。健康な時には害を及ぼさないが、風邪やインフルエンザで粘膜が荒れると、体内に侵入し肺炎などの感染症を起こす。約90種類の肺炎球菌のうち、ワクチンが効くのは23種類。これで重症化する肺炎球菌の8割以上をカバーするという。
◇自治体1/3超で補助
1980年代に登場した肺炎球菌ワクチンだが、任意接種のため日本での普及は遅れていた。新型インフルエンザが流行した09年、インフルエンザワクチンと併用すると重症化を抑えることから注目を集め、公費助成する自治体が増えた。MSDによると、11年末現在、全国約1800自治体中660自治体が、一般的な接種費用6000~8000円の全額か一部を助成する制度を設けている。
インフルエンザにかかると肺炎になりやすいため、これまで医療関係者は秋ごろから接種を呼びかけてきた。だが肺炎球菌は常在菌のため、ワクチンの接種時期を限定する必要はない。日本医科大呼吸ケアクリニック(千代田区)の木田厚瑞所長は「接種してから十分な抗体ができるまで時間がかかる。気候が良い4~6月や9~10月ごろの接種を勧めている」と話す。
◇効果は5年以上
一度接種すると、効果が5年以上持続する点も特徴だ。強い副反応が出るとして以前は認められていなかった再接種も、09年からは5年以上経過した接種者に認められた。木田さんは「5年で直ちに効果が切れるわけではないので、5年を過ぎても慌てる必要はない」と指摘する。
肺炎球菌ワクチンの供給が不足している現状で、高齢者はどのような自衛策をとればいいのだろうか。木田さんは「肺炎球菌ワクチンが高齢者の肺炎のすべてを予防するわけではない。過信は禁物」とくぎを刺す。そのうえで、「手洗い、うがいの励行や禁煙、適度の運動と十分な栄養補給もワクチン接種と同じくらい大切」と強調している。【MMJ編集長・高野聡】
◇乳幼児向けには別ワクチン
肺炎球菌による重い感染症は、乳幼児もかかりやすい。乳幼児には、高齢者(成人)向けワクチンとは別のワクチン(商品名・プレベナー)が接種される。ニューモバックスNPは2歳以上が対象なのに対し、ファイザー社が発売するプレベナーは、生後2カ月から9歳以下が対象で、細菌性髄膜炎、菌血症、中耳炎など乳幼児に重症の感染症を起こす7種類の肺炎球菌に効果がある。
10年にプレベナーが国内で接種可能になって以降、医療機関が二つのワクチンを混同して誤って接種するケースも発生した。対象の異なるワクチンを接種して重篤な副反応が起きた例は報告されていないが、十分な予防効果は得られない。それぞれのワクチンを販売する2社は共同で誤接種防止の注意を呼び掛けている。
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